2025年9月24日水曜日

シリーズ企画|防災庁を呼べ! 第5回 「防災庁ができたら何が変わる?」 ─バラバラだった指揮・支援・連携が一本化する未来


シリーズ企画|防災庁を呼べ! 第5回

「防災庁ができたら何が変わる?」
─バラバラだった指揮・支援・連携が一本化する未来

「6つのもやもや分類の⑤理解したい(意味の抽出)に相当」

「防災庁ができたら何が変わる?」

みなさん、こんにちは。みのる防災のみのるです。

シリーズ企画「防災庁を呼べ!」


今回は第5回。テーマは、

「防災庁ができたら何が変わるのか?」 です。


では早速ですが・・


もし防災庁が存在していたなら?

というテーマで考えてみましょう。


予測されている危機は


南海トラフ地震や首都直下地震、

あるいは火山噴火や大規模な水害。こうしたものが予測されています。


しかし、こうした危機が災害になったとき



そのたびに聞かれるのが、

「国の指示が遅れた」

「情報が錯綜した」

という声です。


じゃあもし──すでに「防災庁」が存在していたなら、

何が変わっていたのでしょうか?


こうした疑問が生じてきます。ひも解いてみましょう。



現在の日本の状況ですが・・


今の日本の防災構造は、残念ながらこれは「司令塔不在」です。


これは選挙があるからではなく

仕組上そうなっています。


内閣府は調整役にとどまり、現場を直接動かせない。

これはどうしても兼務というかたちになるので

対応がおくれます。専門ではないので


さらに

自衛隊、消防、警察は強力ですが、

それぞれ別のラインで活動している。といえます。

統合して総合的な指示を出す機関は日本の場合は

災害対策は発生してから市町村で発足するからです。


自治体にも災害対策本部はありますが、連携は縦割りが基本

共助や企業防災は制度の外に置かれたままです。

防災士の支部での活動をされる方は、このなんとも言えない宙ぶらりんを

感じていると思います。



つまり、部品はそろっているけれど、それをつなぐ設計図が存在しない。

だからこそ、防災庁という統合機関が求められています。


防災庁が変える3つのポイント


1つ目は、指揮系統の一本化です。


現場で一番困るのは「誰の指示を優先するか分からない」こと。


防災庁があれば、総理や防災大臣の下で

常時即応官を置き、

現場に指令を届ける仕組みが作れます。


発災直後に現地統合本部を立ち上げ、自衛隊や消防、警察や医療を一枚岩で動かす。

この一本化こそ、一番分かりやすい変化です。


2つ目は、支援体制の一元化です。

今は食料や水、トイレ、医療資機材、避難所運営…

全部バラバラの省庁が担当していて、

自治体は複数の窓口とやりとりをしなければなりません。

こうした支援で、以前の災害では市町村と都道府県で

上手く行かず多くの問題が発生しています。


防災庁があれば「支援要請の窓口はひとつ」。

物資の在庫を統合管理し、

仮設住宅へのルートをリアルタイムで調整できるようになります。



3つ目は、平時からの訓練と文化づくりです。

防災庁は有事だけではなく、平時にも力を発揮します。

共助組織──自主防災やマンション管理組合への制度支援。

企業防災と自治体計画の連動。

自助を促す教育。

国際基準の訓練。

こうしたものが体系化され、

「災害が起きてから慌てる国」から「災害を前提に動く国」に変わっていくんです。


じゃあ・・この仕組みは制度として正しいのか?

それを検証していくのに海外の仕組みと比較して検証してみましょう。


まずアメリカです。


アメリカのFEMA〈フィーマ)は、発災から数時間で現地に入り、

州や自治体と統合指揮をとります。



オランダでは「セーフティリージョン」という制度で、

警察・消防・医療・自治体が一体で動けるよう法律で整えています。


両国に共通しているのは──

平時から訓練と設計を行い、有事に即応すること。

そして、即時指示が出されて機能する

全く無駄のないやり取りで、必要な支援の支持を出すまで最短であるということです。


これが、日本には欠けています。

防災庁は、それを導入するための“窓口”になれるのです。



課題は山積みといえるでしょう。

こうした「スイッチ一発」みたいな、防災の制度設計を作るのには

道のりが困難です。


まず

防衛省や消防庁、厚労省などとの権限調整。

これは、自衛隊、消防、医療という災害発生時に必要な期間を

動かすための「権限」の調整です。

次に

予算の配分。

常時即応官を育てる仕組み。


さらに公助の限界を支える部分の

共助や企業防災を制度にどう組み込むか。


つまり、防災庁の誕生はゴールではなく、スタートラインに過ぎないんです。


こうしてみていくと思いますが


私は、防災庁を「防災の設計庁」と呼びたい。そうしてほしい!

というのが本音です。



司令塔はあくまで政府、総理大臣にあります。

でも、その司令塔を機能させるためには設計図が必要です。

その設計図を描き、整備し、訓練するのが防災庁の仕事です。


とわたしは提言したいです。

只の権限の移動だけで、統制がとれなくなるなら・・

国民から「防災庁」いらないと言われるとおもいます。


以上・・私のブログの解説です。最後に


少し難しい語句紹介を掲載します。


―----------------------------

① 「司令塔不在」とはなぜ言えるのか?


日本は「内閣府防災担当」が全体調整を担っていますが、


内閣府は防災専任組織ではなく“兼任官庁”


実働部隊(自衛隊・消防・警察)はそれぞれ別省庁に所属


災害対策本部は災害発生後に市町村で立ち上がる“後追い型”


平時から一元的に災害を設計・統制する常設司令部がない


このため、災害時に「誰が全国を統括するのか」が不明確=司令塔不在、と言われます。


② 常時即応官とは?


「常時即応官(じょうじそくおうかん)」は、

防災庁構想の中で想定される 「平時から災害対応だけを専門に訓練し、発災時には即座に現地に赴く職員」 のことです。


イメージはアメリカFEMAの「即応チーム(IMAT: Incident Management Assistance Team)」に近いです。

日本にはまだ制度化されていません。


読み方はシンプルに → じょうじ そくおう かん。


③ 防衛省・消防庁・厚労省の役割


防衛省 → 自衛隊を統括。災害派遣・人命救助・輸送など。


消防庁(総務省の外局)→ 消防本部や消防団の全国調整。現場の消火・救助は自治体消防。


厚生労働省 → DMAT(災害派遣医療チーム)、医薬品供給、避難所での公衆衛生。


それぞれに「災害任務」があるが、縦割りなので統一指揮が難しい。だからこそ権限調整が課題になります。


④ FEMAの読み方


FEMA = フィーマ と読みます。

(正式名称:Federal Emergency Management Agency = アメリカ連邦緊急事態管理庁)


⑤ 「セーフティリージョン」とは?


オランダの制度で、オランダ語では Veiligheidsregio(ファイライハイツレヒオ)と発音します。

英語で Safety Region(安全地域) と訳されます。


特徴:


国を25のリージョンに区分


各リージョンで警察・消防・医療・自治体が合同の危機管理組織を持つ


平時から共同訓練し、有事には即時一体で動ける


指揮系統と予算が法的に整備されている


つまり「日本の広域連合+消防・医療統合本部」をもっと強力に制度化したもの。


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